このサイトについて

 このサイトは、天白酢醸造元曙商会の後呂信喜さんの協力を得て、天白酢保存会が運営しております。

 多くの地域で地産地消の文化は失われつつあります。原因のひとつに後継者問題があげられます。日本酒の分野で起きたように、酢の業界でも大手企業寡占化が進み、零細企業の生き残りが大変難しいのが現状です。課業を跡継ぎが守ることは経済的に不利になりがちです。今では貴重になった昔ながらの食文化は、わたしたちの知らないところで、ひっそりと姿を消しています。

 効率が優先される現代社会では、生産効率の悪さは致命的です。しかし口に入るものすべてが大量生産される食品や、発展途上国からの輸入品ばかりでは、あまりに寂しいとは思いませんか。

天白酢の生産量には深刻な問題があります。

 天白酢を製造できるのは後呂信喜さんという職人だけです。彼の年齢や、健康上の理由から、生産量をこれ以上増やすことは不可能です。そして彼には後継者がありません。彼に万が一のことがあれば、天白酢はわずかな在庫だけを残して姿を消してしまいます。天白酢をこの世に残すためには、酢酸菌の保存はもとより、製造技術をそのまま受け継ぐことが必要です。わたしたちは、半分は諦めています。しかし心のどこかで、もしもこの酢を引き継いでくれる若者が現れてくれたら・・・と淡い可能性に希望を残しています。

 もちろん、天白酢がいますぐに消えてしまうわけではありません。後呂さんが元気な限り、今までのように生産されます。決して無限にあるわけではない大切な酢を無駄にすることなく、少しでも多くの方に知っていただきたいと思います。伝えることが、たとえ遠回りでも文化の保存につながると信じています。

 5月27日、名古屋に天白酢の販売所がオープンします。スタッフと予算不足により、金・土日しか営業できませんが、試飲も可能です。興味のある方はぜひおいでください。尚、当日は製造者である後呂信喜さんもオープンに立ち会ってくれます。酢の面白い話も聞けそうです。

天白酢保存会 増井寛二

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